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名古屋地方裁判所 昭和41年(ヨ)1730号 判決 1968年3月08日

一六九四号事件申請人 一七三〇号事件被申請人 森山文一郎

一六九四号事件被申請人 一七三〇号事件申請人 竹本油脂株式会社

(判文中、一六九四号事件申請人を申請人、同事件被申請人を被申請人と略称する)

主文

一、第一六九四号事件について

(一)  被申請人が昭和四一年一〇月一日申請人に対してなした懲戒解雇の意思表示の効力を、本案判決確定に至るまで仮に停止する。

(二)  被申請人は申請人に対し、昭和四一年一〇月一日以降本案判決確定に至るまで毎月金二五、九〇七円の金員を仮に支払え。

(三)  申請費用は被申請人の負担とする。

二、第一七三〇号事件について

(一)  被申請人の申請をいずれも棄却する。

(二)  申請費用は被申請人の負担とする。

(注、無保証)

事実

第一当事者双方の求める裁判

一  第一六九四号事件について

申請人訴訟代理人は主文第一項と同旨の判決を求め、被申請人訴訟代理人は「申請人の申請をいずれも却下する。申請費用は申請人の負担とする」との判決を求めた。

二  第一七三〇号事件について

被申請人訴訟代理人は「申請人の別紙第一目録記載建物(以下本件寮と略称する)の三階三八号室に対する占有を解いて、被申請人の委任する名古屋地方裁判所執行吏に保管を命ずる。この場合においては執行吏はその保管にかかることを公示するため、適当な方法をとらなければならない。申請人は本案判決確定に至るまで別紙第二目録記載の土地、建物ならびに施設内に立入つてはならない」との判決を求め、申請人訴訟代理人は主文第二項の(一)と同旨の判決を求めた。

第二第一六九四号事件についての申請人の申請の理由

一  申請人は信州大学繊維工業化学科を卒業し、昭和四〇年四月一日から被申請人会社の従業員となり、一ケ月間の実習を経た後、被申請人会社の研究室第二課勤務を命ぜられ、爾来同研究室で繊維油剤の研究に従事していた。

二  ところで被申請人は、昭和四一年九月二二日、申請人に対し、右研究室第二課より営業三部へ転勤を命じ、更に同年一〇月一日申請人が右転勤命令に従わないことを理由に、被申請人会社就業規則9・5および9・5・3を適用して、申請人に懲戒解雇の意思表示をした。

右就業規則の文言は次のとおりである。

9・5   次の各号の一に該当するものは即時(懲戒)解雇する。但し情状により減給とすることがある。

9・5・3 故なく会社の業務上の指示命令に服従せずまたは事業上の秩序をみだしたとき

(12および4以下は省略する)

三  しかしながら右懲戒解雇は次の理由により無効である。

(一)  申請人には就業規則9・5・3所定の右懲戒解雇理由に該当する事実は存しない。

(1) まず申請人が本件懲戒解雇を受けるに至つた経過は次のとおりである。申請人は昭和四一年九月二二日、被申請人会社より、研究室第二課から営業三部へ転勤を命令されたので、その翌日右転勤の再考を願い出たが、同月二四日被申請会社から同月二六日付で営業三部へ転勤すべき旨の業務命令を受けた。申請人は大学で学んだ技術、学問に誇りを持ち、被申請人会社の研究室でも右技術や学問を生かして被申請人会社の営業に役立てるため精一杯働いて来たのに、転勤先の勤務内容や勤務期間も明示されないまま、突如転勤を命ぜられ、それまでの自己の経歴や技能、学問が将来生かされるものか不安を覚え、同時に今後の新勤務について危惧の念を抱き、納得のいかない思いであつた。そこで申請人は同月二五日被申請人会社の従業員で組織している竹本油脂労働組合(以下組合と略称する)に要望書を提出し、右転勤の件につき申請人の利益を擁護するため会社側と交渉するよう要求した。翌二六日には被申請人会社の岡崎総務部長より前記転勤の業務命令に従わなかつた理由により、会社の寮で待機するよう命令された。一方労働組合の執行部は、申請人の要望に応じ本件転勤を種々協議した結果次のとおり執行部案を決定した。

(イ) 現行労働協約上、申請人の転勤はやむを得ない。

(ロ) 申請人はひとまず右転勤に応ずることとし、以後問題を苦情処理委員会で取扱う。

(ハ) 昭和四一年一〇月三一日の労働協約改定の際には、従業員の配転、出向に関する事前協議の件および従業員の出向に対し期限を付する問題をいずれも会社側と交渉する。

しかして同月二九日、組合大会が開催され、右執行部案を賛成多数で可決した。翌三〇日申請人は組合に対しその勧告に応じ転勤を承諾する旨回答し、同日組合は被申請人会社に申請人の意向を伝達した。これに対し被申請人は、申請人の依願退職届を受理する用意はあるが、依願退職届を出さなければ懲戒解雇は免れないとの意向を示し、翌一〇月一日申請人に懲戒解雇を通告した。

(2) 以上の事情を綜合考慮すれば、本件転勤に関する申請人の言動は客観的にみて相当であり理由があるものと云うべきであるから、前記就業規則9・5・3の「故なく会社の業務上の指示命令に服従せずまたは業務上の秩序をみだしたとき」に該当しない。

(二)  本件懲戒解雇は解雇権の濫用である。

およそ労働契約により使用者が労働者から提供される労力を管理するに当つても、使用者は無制限に労働者を支配できるものではない。労働者も生身の人間であるからその配転命令を受けての実行に多少の遅速を伴うこともやむを得ないことである。ところで本件において申請人が短期間転勤命令に応じるのが遷延したのも、前記(一)の(1)の事情を考慮すれば、右同様にやむを得ないところであつて、前記就業規則9・5但書に情状により減給とすることがある旨規定されていることも併せ考えると、本件懲戒解雇は不当に苛酷であり、解雇権の濫用である。

(三)  本件転勤命令は労働基準法第三条および労働組合法第七条第一号に当る不当労働行為であり、申請人はこれに服従する義務はない。

(1) 申請人は、申請人と同時に入社した従業員で組織した会「フオーマル」の一員として、会員相互の激励、レクリエーシヨン、討論等会の目的である活動に、また昭和四〇年頃発足したねぶかの会(労音)の音楽鑑賞、会員の獲得等に積極的に行動し、昭和四一年四月からは、組合大会でも積極的に発言し、同年九月一一日の組合定期大会では研究部一階の組合職場委員に選出された。

(2) 他方被申請人は、

(イ) 右フオーマルの会員の中に民青の会員が九人いるとか、フオーマルは思想教育を行つている等の言分でフオーマルの会員に圧迫を加え、昭和四一年に入社した者に対し、フオーマルの会員とは交際しないように忠告した。

(ロ) また被申請人会社の従業員近藤脩に対し、労音の活動を罷めるよう勧告し、同人がこれを承諾しなかつたため、研究者として力不足という口実で、同人を会社研究室勤務から静岡大学に研究生として派遣する措置をとり、その際同人に対し右静岡大学への派遣を断るなら営業部門に転勤させるともいつた。

(ハ) 更に昭和三四年に被申請人会社に入社し、会社研究室で農薬の仕事に従事していた岩瀬真之に対し、同人が音楽好きで労音のサークルを作つたり文化サークル活動をしたことを理由に、東京営業所営業部へ転勤を命じ、更に同人が東京で勤労者演劇協議会に関係したことから、昭和四一年同人を大阪に転勤させ、結局同人の業務成績が悪いとか社内のチームワークを乱したとの口実で、同人に再三にわたり退職を勧告、強要して、同人を退職させた。

(ニ) 昭和四一年八月申請人が痔を患い入院した際、申請人と会社の若い従業員間の交渉を裂くため、その病状が長距離の旅行に耐えられないにも拘らず、被申請人会社研究部長は申請人に郷里信州に帰省して療養するよう勧告した。

(3) 以上のように被申請人は会社従業員特に申請人がフオーマルないしはねぶか(労音)の会の会員あるいは組合委員として活動することを嫌悪し、そのため申請人が従来勤めていた研究第二課が繊維関係の油剤の研究を担当していて、転勤先の営業三部がセメントコンクリート剤の販売を担当する部門であり、申請人は本件転勤に全く関連のない部門の製品販売に従事することになるにも拘らず、研究室勤務に比較し、営業三部は出張が多く一ケ月のうち会社に出勤しているのは四日ほどであるのに目を付け、申請人を転勤させ、申請人が労働組合活動又はフオーマルねぶかの活動面で他の従業員と接触するのを妨げようとしたものである。よつて被申請人の本件転勤命令は業務上の都合によるものではなく、思想信条によつて差別待遇を行うものであり、かつ組合活動を弱体化せしめる意図のもとになされた不当労働行為であるから無効である。

従つて申請人には右転勤命令に従う義務はないものというべく、転勤命令違反を理由とする本件懲戒解雇は無効である。

(四)  本件解雇は労働基準法第二〇条に違反する。

即ち被申請人は申請人に対し、本件解雇に関して労働基準監督署から労働基準法第二〇条の除外認定を得た旨口頭で告知して来た。しかしながら申請人は右監督署の職員から昭和四一年一〇月六日に三〇分位聴取を受けたに過ぎず、それは本件懲戒解雇の発令後であり、かかる事後の認定は労働基準法制定の趣旨に反し許されないから結局本件懲戒解雇は前記法条の手続に違反したものであつて無効である。

四  申請人は、昭和四一年八月二一日より同年九月二〇日まで金二九、九三九円、同年七月二一日より同年八月二〇日まで金一九、八七二円、同年六月二一日より同年七月二〇日まで金二七、九一二円の各給料を被申請人会社から受取つていたので、本件解雇当時において、すくなくとも一ケ月平均金二五、九〇七円の賃金の支給を受けていたものである。しかして申請人は賃金をもつて唯一の生活の資とする労働者であり、被申請人が本件懲戒解雇以降右賃金の支払をしようとしないことにより著しい損害を受けているので、本案判決の確定をまつていては回復し難い損害を蒙ることは明らかであるから、申請の趣旨記載の如き仮処分命令を求めるため本件申請に及ぶ。

第三第一六九四号事件の申請の理由に対する被申請人の答弁

(一)  第一項、第二項の事実は認める。

(二)  第三項の(一)の(1)の事実中、被申請人が申請人に対し、研究室第二課から営業三部への転勤を命令したこと、その後申請人が被申請人会社に右転勤の再考を願い出たこと、同月二四日被申請人会社が同月二六日付で営業三部へ転勤すべき旨の業務命令を発したこと、申請人が同月二五日被申請人会社の従業員で組織している労働組合に要望書を提出し右転勤の件につき申請人の利益を擁護するため会社側と交渉するよう要求し、組合の執行部は申請人の要望に応じ、右転勤につき協議した結果、現行労働協約上申請人の転勤はやむを得ないとの結論に達し、同月二九日の組合大会でも右結論が賛成多数で可決されたこと、翌三〇日申請人が組合に対し組合の右勧告に応じ転勤を承諾する旨回答し、組合が同日右申請人の意向を被申請人会社に伝達したこと、被申請人が翌一〇月一日申請人に対し懲戒解雇を通告したことは認めるが、その余の事実は否認する。

(三)  第三項の(一)の(2)の事実は否認する。

(四)  第三項の(二)の事実は否認する。被申請人は申請人に対し本件転勤を命ずる以前に申請人から右転勤に応ずる旨の内諾を得て発令したもので、しかも右転勤は被申請人の業務上の都合により定期的に行なう職場の配置転換にすぎず、申請人に対しその間の事情を十分説明し説得したにも拘らず、申請人はこれを全く聞き入れず却つて挑戦的態度に出てすこしも反省の色がみえなかつたのである。転勤を後で承諾したのも組合から勧告され渋々応じたものであつて、自ら反省し飜意したものではないから、到底情状酌量の余地はないものというべく、被申請人会社としてもこれをそのまま放置しては、将来に悪例を残すこととなり会社の名誉信用はもとより、今後の人事管理面に重大な支障を来たすことは明らかであるので、断乎たる態度に出たものである。

(五)  第三項の(三)について

(1)、(2)の(イ)の事実はいずれも知らない。(2)の(ロ)の事実中、被申請人が研究のために近藤脩を静岡大学に派遣したことは認めるが、その余の事実は否認する。

(2)の(ハ)の事実中、岩瀬真之が昭和三四年被申請人会社に入社し、その後東京大阪の各営業所へ順次転勤し大阪営業所で退職したことは認めるが、その余の事実は否認する。

(2)の(ニ)の事実中申請人主張の日時頃被申請人会社研究部長が申請人に郷里へ帰省して療養するよう勧告したことは認めるが、その余の事実は否認する。

(3)の事実中営業三部の仕事が研究部より比較的出張が多いことは認めるが、その余の事実は否認する。被申請人会社は油脂および建築用界面活性剤等を製造販売しているが、特に営業三部で販売を担当している界面活性剤は、新分野を開拓中の新製品であるので、その販売について単なる営業的セールスマンでは不適当で、技術的指導能力を有する従業員が販売に従事することが必要とせられるに至り、申請人を技術的能力を有し右新分野の開拓ならびに販売力増強のため有能な人物と認めて選んだもので、思想信条による差別待遇ないしは不当労働行為による転勤ではない。

(六)  第三項の(四)の事実中、被申請人が本件解雇につき労働基準監督署から除外認定を受けたのが本件解雇後であることは認めるが、その余の事実は否認する。

(七)  第四項の事実中申請人が被申請人会社において申請人主張の如き金額の給料を支給されていたこと、解雇后、被申請人がその支給をしていないことは認めるが、その余は争う。

第四第一七三〇号事件についての被申請人の申請の理由

一  申請人は昭和四〇年三月三一日付で被申請人会社に入社し、研究開発第二課に配属され勤務し、本件寮の三階三八号室に居住していた。

二  被申請人会社では例年企業の発展および従業員の能力の伸長を図るため、従業員の意見を十分尊重しその労働条件生活環境に影響を与えないよう配慮の上従業員の人事異動を行なつているが、昭和四一年も九月五日に部長会議を開催して、人事異動を各部長に内示し、同月一〇日労働組合にその内容を通知し、同月一二日各部課長を通じ人事異動該当者にその旨の通知を行なつた。ところで被申請人会社では、油脂および界面活性剤等の化学製品を販売している関係上、従業員に技術的素養を必要とするため、従来から会社内部の研究、営業、生産、各部門相互の間でしばしば人事交流を行なつていた。そして現在開発途上にある建築用界面活性剤の販売力を増強するために、その販売を担当する営業三部の陣容を強化する必要から、申請人のもつ技術的基礎知識および人間的な線の太さ行動力等を考慮の上申請人を営業三部に配転させることに決定し、同月一二日申請人にその旨を通知したところ、これに対し申請人は右通知の翌日その人事異動に内諾の意を示した。そこで申請人会社は同月二一日申請人に対し正式に右人事異動を発令し翌日会社構内に右辞令を掲示し、同月二六日朝より新配置に就くよう申請人に指示した。しかるに同月二四日になつて申請人は突如文書をもつて仕事の内容や自己の能力を考えるとこの異動は納得しかねるから辞令を返上する旨申し出、同月二六日になつても新配置に就労せず、旧職場に現われたので、部課長を通じ再三再四業務命令に従うよう説得したが全く聞きいれず、また組合側の熱心な説得にも耳をかさず辞令返上を撤回しないので、被申請人はやむなく同年一〇月一日正当な理由なく会社の秩序を乱したことを理由に会社就業規則9・5・3を適用し、申請人に対し懲戒解雇の意思表示をし、同時に右解雇により従業員としての身分を失つたものとして、寮管理および利用規定2・5・2により申請人に本件寮の三階三八号室より退寮するよう命令した。

一方被申請人は蒲郡労働基準監督署長あて解雇予告除外認定書を提出し同月八日除外認定を得た。

三  寮管理および利用規定によれば、退寮命令後七日以内に退寮しなくてはならない定めになつているにも拘らず、申請人は右期日に至るも退寮せず被申請人の所有にかかる本件寮の三階三八号室に居住し、被申請人の所有にかかる別紙第二目録記載の土地建物および施設内に立入つて「懲戒解雇は認められない。寮にとどまつてあくまで闘う」旨のビラを配布する等し、退寮する意思が認められないので、同月一四日再度内容証明郵便をもつて同月二〇日までに退寮するよう催告したが、同日をすぎても退寮しない。

四  そこで被申請人は申請人に対し、本件寮の三階三八号室の明渡しおよび別紙第二目録記載の土地建物ならびに施設内への立入り禁止を求める本案訴訟の提起を準備中であるが、懲戒解雇された申請人が今後も引続き本件寮に居住し被申請人会社構内に立入つては、他の従業員に対する悪影響は計り知れないものがあり、また対外的に被申請人会社の信用の失墜も甚だしく被申請人会社の秩序を維持し信用を回復するためにも本案判決の確定をまつては回復し難い損害が生ずることは明らかであるので、申請の趣旨記載の仮処分命令を求めるため本申請に及ぶ。

第五第一七三〇号事件の申請の理由に対する申請人の答弁

(一)  第一項の事実は認める。

(二) 第二項の事実中、被申請人会社が被申請人主張の日時頃申請人に対し営業三部への転勤を発令し同月二六日より新配置に就くよう申請人に指示を与えたこと、同年一〇月一日被申請人が申請人に対し会社就業規則9・5・3を適用し懲戒解雇の意思表示をしたことは認めるが、その余の事実は否認する。本件懲戒解雇の意思表示は第一六九四号事件についての申請人の申請の理由の第三項に記載した各理由により無効である。

(三) 第三項の事実中、本件寮および別紙第二目録記載の土地建物および施設がいずれも被申請人の所有に属すること申請人が本件寮の三階三八号室に居住していることはいずれも認めるがその余の事実は否認する。

(四) 第四項は争う。

第六疎明資料について<省略>

理由

第一、第一六九四号事件についての判断

一  申請人が信州大学繊維学部繊維工業化学科を卒業後、昭和四〇年四月一日から被申請人会社の従業員となり、一ケ月の実習を経た後、被申請人会社の研究室第二課勤務を命ぜられ、爾来同研究室で、繊維油剤の研究に従事していたこと、被申請人が昭和四一年九月二二日申請人に対し右研究室第二課より営業三部へ転勤を命じたこと、申請人がその後被申請人に転勤の再考を願い出たこと、それに対し同月二四日被申請人会社から同月二六日付で営業三部へ転勤すべき旨の業務命令を受けたこと、そこで同月二五日被申請人会社の従業員で組織している労働組合に要望書を提出し右転勤の件につき申請人の利益を擁護するため会社側と交渉するよう要求し、組合執行部は申請人の求めに応じ、右転勤につき協議した結果、現行労働協約上申請人の転勤はやむを得ないとの結論に達し、同月二九日の組合大会でも右結論が賛成多数で可決されたこと、翌三〇日申請人が組合に対し組合の右勧告に応じ転勤を承諾する旨回答し組合が同日右申請人の意向を被申請人会社に伝達したこと被申請人が翌一〇月一日申請人に対し申請人が右転勤命令に従わないことを理由に被申請人会社就業規則9・5および9・5・3を適用して懲戒解雇を通告したこと被申請人会社の就業規則に申請人が主張するような文言の規定があることはいずれも当事者間に争いがない。

二  ところで当事者間に争いのない右事実に成立に争いのない乙第二、第六、第七号証、申請人本人尋問の結果によつて成立を認められる甲第五号証、証人近藤脩の証言によつて成立を認められる甲第六号証、証人岡崎明の証言によつて成立を認められる乙第四、第五号証、証人大橋龍太の証言によつて成立を認められる乙第一五、第一六号証、証人近藤脩、同岩瀬真之、同岡崎明、同大橋龍太の各証言、申請人本人尋問の結果を総合すると、本件解雇の経緯として次のような事実が疎明される。

(1)  申請人は、被申請人会社に入社後、同時に入社した従業員で組織した会フオーマルの一員として、また会社従業員の一部の者によつて昭和四〇年頃発足したねぶかの会(労音)の会員として、レクリエーシヨン音楽鑑賞等に積極的に活動していた。

(2)  被申請人会社では、昭和四一年九月当時開発途上にあつた建築用界面活性剤(セメントコンクリート関係)の販売力を増強する必要があつたので、その販売を担当する営業第三部から人員の補充が要請されていた。その人選に当つては、建築用界面活性剤の需要販売先の性格から見て、界面活性剤の技術的基礎知識をある程度有し、人間的にも線が太く、行動力に富んだ人物を必要とし、これらの要求に該当する社員として、申請人が選ばれ、同月五日の部長会で審議の上、他の七名の人事異動と共に申請人の研究第二課から営業三部への配転が正式に決定された。同月九日被申請人会社は、右八名の人事異動の内容を組合に通知し、異動の基準を説明して組合の了解を得、同月一二日に担当部課長および職制を通じ、右八名に配転を内示し、その意向を聴取した。同日申請人は村松研究部長から営業三部への配転の内示を受けたが、即座に応答をしなかつたが、翌一三日右研究部長および課長に配転に応ずる旨申出た。

そこで被申請人会社は、同月二一日申請人を含め右八名の人事異動を発令し、翌二二日総務課長より特に事務引継に支障のない限り九月二六日から新配置に付くように各関係部課長を通じ右八名の異動者に命令した。

(3)  ところで申請人は、本件配転の内示に一旦承諾したが、元来大学でも繊維工業化学を学び被申請人会社の研究第二課でも繊維油剤の研究に従事して来たのに、配転先の営業三部はセメントコンクリートの界面活性剤販売を担当するいわば異つた分野であり、従来研究部から他部へ転出して再度研究部へ戻つた例はあまりないこと研究部長や課長から日頃仕事の激励を受け、現に配転の内示の一週間ほど前には、山本研究課長から一生懸命頑張るよう励まされた事実があつたこと、被申請人会社ではフオーマルやねぶかの会の会員がサークル活動を行なうのを歓迎せず、むしろ苦々しく思つている節があり、同じ研究部に勤務していた近藤脩が、フオーマルやねぶかの会の会員として申請人同様活発に活動していたところ、本件転勤の二ケ月ほど前本人の意に反し静岡大学へ研究生として派遣された例があつたこと、同じくフオーマルやねぶかの会の会員である山田実が、申請人同様右異動で研究部から他店へ出向を命ぜられていること、偶々配転の内示を受けた前日に、申請人は研究部一階の組合職場委員に選出された事実があつたこと等の事情があつたので、自己がフオーマルやねぶかの会の会員であり、また組合の職場委員でもあるため、他の従業員と接触させないよう比較的出張の多い営業三部へ配転させられたものと思い込んで、同月二四日右山田と連名で本件転勤の辞令の返上および配転の再考を求める趣旨の書面を作成し、被申請人に提出するに至つた。

(4)  右書面を受領した会社総務部長は、申請人らに対し配転の再考の余地のないことを明らかにし、同月二六日から新配置に就くよう直接口頭で命令した。

(5)  同月二五日申請人らは組合に対し要望書を提出し、右配転の不当性を訴え、申請人らの利益のため会社側と交渉するよう要望した。

(6)  同月二六日申請人が研究第二課の旧職場に姿を現わし、仕事を行なおうとしたため、被申請人会社の研究および総務の各部課長は申請人に対し新職場に行くよう種々説得した。然し申請人がこれに応ずる気配をみせなかつたので、申請人に寮で待機するように命令した。

(7)  他方被申請人会社も、組合に申請人らの命令拒否の実状を話し、「このままでは最高処分をせざるを得ない、組合はどう考えるか」との申入れを行なつた。これに対し組合は前記申請人らによる要望書提出の件もあつたので会社に右申請人の問題討議のため就業時間内の組合活動をすることの許可を求め、会社はこれを了承し、組合は右二六日の午後から夜半にかけまた翌二七日の朝から終日、申請人らを交え、執行部内で協議し検討した結果、結局申請人の転勤はやむを得ないとの結論に達した。しかしながら、なお申請人の要望もあつて問題を組合総会に計ることに決し、二八日朝、組合総会開催のため同日夕刻から議場として会社の大食堂を使用する許可を被申請人に求めた。これに対し被申請人会社も右総会開催を了承し右会場使用を許可した。

(8)  他方被申請人会社は、同日の組合総会前、緊急常務会を開催し、「組合の態度如何に拘らず申請人は懲戒解雇にせざるを得ない。但し発令は組合総会後に発する」旨決定した。

(9)  同日夕刻からの組合大会で、申請人は自己の意見を述べると共に、大会の決定に従う旨組合員の前で宣言した。そこで挙手による方法により申請人らの転勤の当否を採決したところ、圧倒的多数の賛成で前記執行部案が可決された。申請人は個人的には右決定に不満であつたが、組合員として大会の決定に従うべきであると考え、転勤を承諾する意向を表明し、組合は、翌二九日午後、被申請人会社から前日の常務会での懲戒解雇の決定を知らされた際、被申請人会社に申請人が右転勤に承諾したことを伝え、懲戒解雇ではなくより穏かな処分を要求し、翌三〇日午前中も引続き減刑要求を行なつた。そこで被申請人会社は直ちに緊急常務会を開催し、右組合の減刑要求につき検討を加えた結果、申請人は当初一旦転勤の内示を承諾していたのに、後になつて意を飜し反抗的な態度に出て、組合大会を開催させるほどの騒ぎを起し、組合が支援しないとみてとつてその要求を引き下げる態度は、我儘で改悛の情がない、申請人の行動を宥恕したのでは、今後に悪例を残すことになり人事管理上も問題であつて経営の秩序が保てない等の理由で、二八日に決定した懲戒解雇の建前を貫ぬくこととし、ただ申請人が依願退職を申し出ればこれに応ずる用意はある旨組合に伝達した。

(10)  組合の執行部は、三〇日午後から一〇月一日午前まで、申請人らを説得し、依願退職を勧告したが、申請人と共に争つていた山田実は右依願退職案に応じたものの、申請人はこれを拒否したため、被申請人会社は同日申請人に会社就業規則9・5および9・5・3を適用して、懲戒解雇の言渡しをした。

(11)  そして一〇月三日には、第二回の組合大会が開催され、右懲戒解雇の当否について大会で検討し、結局懲戒解雇もやむを得ないとの結論に達したが、今後不明朗な印象を与える人事異動を行なわないよう組合として申入れを行なうことに決し、その旨被申請人会社に対し申入れがなされた。

以上のように疎明され、右認定を左右するに足りる疎明はない。

三  そこで本件解雇が無効であるかどうかについて判断する。

前認定事実によれば被申請人会社が、申請人に対し、本件転勤を発令したのは、前認定のように、建築用界面活性剤の販売力を増強するためその販売を担当する営業第三部の人員を補強することとし、技術、行動力、性格等を考慮して申請人をその適任者と認めたためであつたと認められ、申請人主張のように、フオーマルやねぶかの会の会員あるいは組合員としての申請人の活動を嫌悪し、その活動面で申請人と他の従業員との接触を妨げる等思想信条による差別待遇ないしは反組合的意図に出たものと認めるに足りる疎明はない。

従つて申請人は被申請人会社の従業員として本件転勤の発令に従うべき義務があつたものというべきである。

ところで申請人は、本件解雇に至る経緯を考慮すれば、本件の申請人の行動は客観的にみて相当であり理由があるから、右義務違反に当たる事実はない旨主張するので考えるに、前記認定のとおり、申請人は大学以来繊維部門の研究に従事して来たため、営業三部でセメントコンクリートの販売に携わることに、自己のそれまでの研究や技術を生かせるものか危惧の念を抱き、納得できない気持に駈られたことは想像に難くないが、被申請人会社が社員の配転を行なうに当つて、すべての社員に納得のいく転勤命令を発することがほとんど不可能なこともまた当然のことであり、申請人としても右程度の不満は辛抱すべきであり、また会社がサークル活動や組合活動のため差別待遇をしたものと思い込んでいたとしても、一応会社の業務命令に従つて新職場につき、その上で組合に問題を提起し、組合員の賛否を問う方法もとり得たわけであるから、申請人が、本件発令を一度内諾しながら、九月二四日に至り意を飜し辞令を返上した上、同月二六日から新配置につくように命じた業務命令を無視し、職場を放棄したまま、同月二八日夕刻の組合大会で右転勤を肯定する決定が下されるまで、組合工作に終始したことは、客観的にみて相当で理由のある行動と解することはできず、むしろ転勤命令ないしは業務命令に違反するものとして、被申請人会社の従業員に対する懲戒解雇事由を定めた就業規則9・5・3の、「故なく会社の業務上の指示命令に服従せず、または事業上の秩序をみだしたとき」に該当するものといわなければならない。しかしながら、それだからといつて直ちに申請人が懲戒解雇に値するものと即断することはできない。

会社就業規則9・5が「次の各号の一に該当するものは即時解雇する。但し情状により減給とすることがある」旨規定していることに徴すると、会社が右就業規則9・5および9・5・3の規定を適用して従業員を解雇し、終局的にこれを企業から排除することを許されるのは、従業員に単に懲戒解雇事由に該当する行為があつたというだけでは足らず、企業の運営維持の上からみて、社会観念に照らし、当該従業員を企業から終局的に排除するのを相当と認めるに足りる程度にその行為の態様が重大かつ悪質であり、情状の重い場合でなければならないと解すべきである。

ところで申請人が当初本件転勤命令に従わなかつた理由は、フオーマルやねぶかの会あるいは組合等での申請人の活動を嫌つた被申請人が、他の従業員から申請人を引き離すために比較的出張が多い営業三部へ申請人を転勤させたものと思い込んだことにあることは既に認定した通りである。本件転勤命令は、申請人が被申請人会社からそれ相当の理由によつてその適任者と認められたためであつて、申請人のサークルや組合での活動を嫌悪し、その活動を阻害するため、とられた措置ではなかつたとはいえ、申請人が会社の研究部長や課長から日頃その研究を激励されていた矢先思いもかけず本件転勤の話が出たこと、それまで申請人は繊維関係の研究に従事して来たのに、職種の異るセメントコンクリートの界面活性剤販売の仕事に配転させられることになつたこと、被申請人会社では、予々フオーマルやねぶかの会員がサークル活動を行なうのを歓迎せず、むしろ苦々しく思つている節があり、本件転勤の約二ケ月ほど前、申請人同様フオーマルやねぶかの会員として積極的に活動していた近藤脩が、その意に反して被申請人会社の研究部から静岡大学へ研究生として派遣された事実があつたこと、同じくフオーマルやねぶかの会員である山田実が、申請人同様被申請人会社研究部から他店へ出向を命ぜられていること、本件転勤の内示を受ける前日、偶々申請人が組合の研究部一階職場委員に選任された事実があつたこと等前記認定の事情に照らせば、申請人が前記のように思い込んで本件転勤命令に従わなかつたのは、社会経験が浅いため、ともすれば直接的な行動に走る傾向の強い青年の行動として、ある程度理解できないことでもない。従つて前記認定のとおり申請人が山田実と共に転勤の辞令の返上を申し出かつ組合に対し組合大会の開催を要求し、本件転勤の当否につき組合員の判断を求めた行動は、それなりに一応筋の通つた措置であつたともいえる。

そして同月二八日の組合大会において、組合員多数の意見により申請人の転勤を肯定する決定がなされた際、申請人が右決定に従つて転勤を受諾する意向を表明したことは前記認定のとおりであり、以上の申請人の言動に徴すれば、申請人はあくまで組合員として組合を通じて会社と転勤の問題を交渉する決意であり、またその決意に従つて一応首尾一貫した行動に終始したものというべきである。

また、申請人が、被申請人会社の業務命令を無視し、同月二六日から新職場を放棄したまま、転勤の交渉に奔走した行為はただちに是認しうるものではないが、前記認定のとおり、同月二六、二七日において組合執行部が申請人と転勤問題を協議するため就業時間内の組合活動の許可を求めた際、被申請人はこれを了承したこと、更に右転勤問題につき組合員の意見を聞くため同月二八日夕刻から組合大会を開催するにあたり、被申請人会社に会場の使用許可を求めた際も、被申請人がこれを承認したのであつて、被申請人は、申請人の転勤問題を組合が討議する間、申請人がこれに参加するため職場を離れることがあるべきことは当然予測し黙認していたものといえる。

そして翌二九日午後、組合が被申請人に対し、申請人が配転を承認し、これに応じる旨の意向を明らかにして申請人のため減刑を申出たことは前記認定の通りである。すなわち、その段階では、被申請人会社は当初の思惑通り申請人を営業三部へ配転できることになり、申請人も被申請人の配転命令に従つて配転先で勤務するという当初辞令を発した状態に復しその間当初の配転発令から七日を経過したにすぎない。

被申請人は申請人の言動をそのまま放置したのでは、将来に悪例を残し今後の人事管理面に重大な支障をきたすことになると主張するが、本件では右のように申請人の行動は失敗に終り、当初被申請人の予定したとおりの結果に帰着し、申請人は爾后被申請人の命令どおり配転先で働くべきこととなつたわけであるから、ここに至るまでの間の申請人の行為につきなんらかの処分がされることは別として、懲戒解雇しなければ、これを放置したとして、将来の人事管理上重大な支障を来すものとは解しがたい。

ところで被申請人会社が、同月二八日の組合総会前、緊急常務会を開催し、「組合の態度如何に拘らず申請人を懲戒解雇にする、但しその辞令は組合総会後に発令する」旨決定したことは、前記認定のとおりであり、従つて会社側は、申請人が組合を通じて転勤の交渉を行なうつもりでいるのを察しながら、組合の意向を考慮する気持は毛頭なく、同月二八日において既に懲戒解雇の意思を固めていたことは明らかである。従つて同月三〇日の緊急常務会は、申請人を懲戒解雇に処することを前提とし、ただ申請人が転勤承諾の意向を示したので、その新たな事情を酌むべきか検討を加えたにすぎず、その結果改悛の情がないので、依願退職には応ずるが当初の懲戒解雇の決定は撤回しない旨の結論に達したものであつて、このように被申請人が、一方で申請人と組合間の協議や組合大会の開催を承認しながら、組合大会の結論をまたず(従つてその時点ではいまだ申請人が転勤に承諾した事情を斟酌できない)同月二八日に懲戒解雇の断を下したことには、組合や申請人の立場を無視し申請人の言動に、ただ感情的に反撥しての処置との嫌がないでもない。

以上の諸般の事情を考慮するとき、申請人が、一時会社の転勤命令ないしは業務命令に一たんは従わなかつた言動が、形式的に会社就業規則9・5・3に該当するとはいえ、その前后の事情を考えれば直ちに懲戒解雇に処して、企業外に排除しなければならないほどに、企業秩序を乱したもので悪質な情の重いものとみることは相当でない。従つて本件懲戒解雇は、就業規則9・5の懲戒解雇規定をその趣旨、目的を逸脱して不当に適用したものであつて権利の濫用として無効であるといわなければならない。

四  以上のとおり不当労働行為その他の主張について判断するまでもなく、本件解雇は無効であるから、申請人と被申請人会社との間にはいぜん雇傭関係が存続し、申請人は被申請人会社に対し雇傭契約上の権利を有するものといわなければならない。

ところで申請人が本件解雇当時、被申請人会社から支給を受けていた賃金が一ケ月平均金二五、九〇七円であることは当事者間に争いがない。また申請人本人尋問の結果によれば、申請人は本件解雇により被申請人会社から賃金の支給を絶たれた後は、身体を悪くして働けなくなつたため、毎月七、〇〇〇円の生活保護を受け、あるいは友人や同僚の援助に頼つて生活している状態で、甚だしく生活に困窮していることが疎明されるから、本件仮処分はこれを求める必要性が存するものというべきである。

以上の次第であるから被申請人に対し、主文第一項と同旨の判決を求める申請人の本件仮処分申請はいずれも理由がある。

第二、第一七三〇号事件についての判断

一  申請人が、被申請人主張のとおり、被申請人会社に入社し勤務して、本件寮の三階三八号室に居住していること、被申請人がその主張の日時に申請人に対し営業三部への転勤を発令し、同月二六日より新配置につくよう申請人に指示を与えたこと、同年一〇月一日被申請人が申請人に対し会社就業規則9・5・3を適用し、懲戒解雇の意思表示をしたこと、本件寮および別紙第二目録記載の土地建物ならびに施設がいずれも被申請人の所有に属することについては、当事者間に争いはない。

二  そこで本件懲戒解雇の効力につき、申請人が争うので、この点につき考えるに、既にさきに判断したとおり、本件懲戒解雇の意思表示は、権利の濫用として無効であるから、申請人と被申請人会社との間に雇傭関係が存続し、申請人は被申請人会社に対し雇傭契約上の権利を有するものであり、従つて申請人は本件解雇の意思表示前と同様、本件寮三階三八号室に入寮して居住する権利および別紙第二目録記載の土地建物ならびに施設内に立入る権利を有するものというべきである。そうだとすれば、申請人が本件懲戒解雇によつて被申請人会社の従業員としての地位を失つたことを前提として、申請人に対し申請の趣旨第二項に記載の仮処分を求める被申請人の申請は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がないものといわなければならない。

第三、よつて第一六九四号事件については、申請人の本件仮処分申請はいずれも正当として、これを保証をたてさせないで認容し、申請費用の負担について、民事訴訟法第八九条を適用し、第一七三〇号事件については、被申請人の本件仮処分申請をいずれも失当として棄却することとし、申請費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して、それぞれ主文のとおり判決する。

(裁判官 西川正世 元吉麗子 豊永格)

(別紙省略)

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